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2006年1月10日 (火)

「ヘロヘロヘロ」

「どこかに鴨がおらんか」とナオちゃんが言うのです。「アメリカ人は鴨が好きじゃ」、「ほんとに好きなん?」「ああ、俺を見るとカモ、カモち言う」。カム・オン、カム・オンといわれても「ギブ・ミーチョコレート」と言うなと息巻いていた航空隊予科練習生帰りのナオちゃんは、今年たしか七十六歳のはずです。昭和二十年代、敗戦の頃、凍てつく冬の由布院盆地にシベリヤの鴨が次々にやってきて、ひそかに鳴いておりました。田畑がなかったナオちゃんは、アメリカ人のためじゃなくて、自分のために合鴨を飼い始めた。これがなかなか汗だくで、日がな一日、合鴨を追うのです。餌をケチるには放ち飼いしかないし、放てば鴨は走って、田圃の稲を食う。農家が鎌をもって追っかけてくる。「鴨を食わせるから、お前も手伝え」。ふたりで「ヘロ・ヘロ・ヘロ」と怒鳴りながら、鴨を追いました。どうも鴨の話には信用ならんところがあるのですが、今また合鴨に現を抜かしているのはなぜか、今度の市町村合併でワタシたちは「寄る辺ない気分」になりました。自分で体感できる「ココ」の感覚がほしい、ならば「由布院盆地」です。地形も、地勢も、産物も「身体で感じることができる」、そうです、盆地だから合鴨なのです。「ヘロ・ヘロ・ヘロ」。